病院

ベルは病院が嫌いだ。

幸いな事に我が家に来てからは、深刻な状態での病院受診は無かった。
悪戯が過ぎて漂白剤に鼻を突っ込んで、赤鼻鼻水たらしになったり…。
唯一気掛かりなのは、アレルギーがあって肺に影があることだった。

今朝も何時もと変わりなく起きて来たベル。
ご飯はちょこっとしか食べなかったが、珍しくは無い事なので気にもとめなかった。
夫を仕事に送り出し、母をデイサービスに送り出し、何時もと同じ様に父の介護をしながら洗濯機を回す。
ベルも何時もの様に、私の腰巾着を決め込んで後を付いて歩いていた。
やっとソファーに座ってコヒーを飲みながら、時計を見たらもう昼の12時だった。
私の後を追って階段を上って来たベルが、私の足下で踞りウグッウグッと言いだしネコ草と少量の液体を吐いた。
何時もなら吐くと叱られると思うのか、ぴゅっとその場から逃げてしまうのに今日はその場から動こうとしない。
「あれ?」と思った瞬間だった。
踞っていた身体が大きく伸びをする様に背中を丸めて四肢をピンと伸ばし、次の瞬間そのままバタリと横に倒れたのだ。
「ベル!?」
呼んだけれど…動かない。
目を異常に大きく見開き、口から舌が出ていた。
ベルの名を叫びながら背中を摩った。胸もお腹も摩った。
ほんの一瞬の短い時間だったのだろうが、気が遠くなる程長い時間に感じられた。
抱き上げて揺すった時、意識が戻ったようだ。
今までに聞いた事の無い声で吼えた。鳴くのではなく吼えた。
失禁し動転したのか、寝室に走り込みベットの下に潜り込み私が近づくと唸り声をあげる。
ベットの横にはウンチまで転がっている。
生きている事を確認して、ベルが落ち着くまで待った。
母がデイから帰って来るのを待ち、父の見守りを心配だが任せて病院へと向かった。

レントゲンと心電図。
レントゲンの結果はやっぱり肺は少々靄がかかっている。
心電図は興奮して脈は速くなっているものの、不整脈は見られない。
先生の診断では、
年齢的にも検査結果から見ても、心臓疾患とは考えずらい。
嘔吐した時に横隔膜が激しく収縮した為に、普段から肺の機能がよろしくないので一瞬呼吸困難になったのでは?

との見解。
嘔吐がスイッチになり繰り返す虞れがあるので、吐き止めの薬が処方された。
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今は、はしゃぐ様子は見られないが、普通にご飯も食べシッコもして眠っている。

夫は私の狼狽ぶりを嗜めたが、あの場に遭遇したものにしか解るまい。
今でもスローモーションの様に倒れていく様や、呼吸も無く目を見開いたままのベルの顔が脳裏に焼き付いている。
何時かは訪れる別れなのだろうが、まだ早すぎだから。。。
愛するものを失うのは辛すぎるじゃないの。

もう少しの間、うちの娘で居て下さい。

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by kobuta-kimoti | 2008-11-30 00:38 |